これは、ここ1年であった相談の話です。
ある日、慌てた様子でご連絡をいただきました。
「優秀な税理士さんを紹介してほしい」
私は普段から、資産税に詳しい税理士と提携しています。それを聞きつけてのご相談でした。
ただ、私はすぐに税理士を紹介する前に、まず詳しくお話を聞くことにしました。

「3,000万円が控除できるはず」——その思い込み
お話を聞くと、こういう経緯でした。
ご相談者は、祖父の代から続く家に、長年住んでいました。
その家を相続し、しばらくして解体。間もなく土地を売却していました。
売却にあたって、ネットで調べたそうです。
「自宅の家を売ると、3,000万円の控除が受けられる」
確かに、そういう制度はあります。多くのサイトで紹介されています。
そこでご相談者は、自分で申請しました。
ところが、税務署で「対象外です」と言われてしまったのです。
なぜ「対象外」だったのか
詳しく伺うと、問題は「過去の相続」にありました。
この家は、祖父から祖母、祖母から親、そして相談者へと、何代にもわたって引き継がれてきた家でした。
しかし、途中の相続で、誰がどう引き継ぐかを正式に決めた書類が、残っていなかったのです。
つまり、「この不動産が、法的に正しく相談者のものになった」という道筋を、書面で証明できなかった。
提携している税理士に確認しても、判断は変わりませんでした。準備が整っていない以上、控除の適用は難しい、と。
準備不足が招いた、数百万円の差
タラレバになりますが、家を解体する前に、売却する前に、一度ご相談いただけていたら。
私は、こう考えます。
まず、現状を「見える化」する。
・この不動産は、どういう相続の経緯をたどってきたか
・必要な書類は揃っているか
・足りないものは何か
その上で、何を、どの順番で整えるべきか。
提携する税理士や司法書士と、事前に道筋を立てる。
具体的な対策は、ケースによって異なります。だからこそ、動く前に専門家と確認することに意味があります。
順番を整えるだけで、結果が変わる可能性は十分にありました。
「先に知っていれば」を、なくしたい
不動産にまつわる失敗の多くは、「知らなかった」「順番を間違えた」ことから起きます。
そして、その多くは、動く前に相談していれば防げたものです。
私は、相続不動産の「街のかかりつけ医」として、この「先に知っていれば」を、一つでも減らしたいと考えています。
大きな決断をする前に、まず現状を整理する。
専門家が必要なら、適切なタイミングで橋渡しする。
それが、無駄な損失を防ぐ、一番の近道だと思っています。
ご相談はお気軽に
実家の売却、相続した不動産の扱いで、「これで合っているのかな」と少しでも迷いがあれば。動き出す前に、まずはご相談ください。現状を整理するだけでも、見えてくるものがあります。
