(福岡市・春日市・那珂川市など対象地域あり/交付申請は2026年11月30日まで)
相続した実家を、売るべきか、貸すべきか、しばらく持っておくべきか。
その判断に迷う方は少なくありません。
特に、親が施設に入るタイミングや、実家が空き家になるタイミングでは、こんな不安が出てきます。
「この家は、まだ貸せる状態なのか」
「雨漏りや床下の傷みはないか」
「売る前に直した方がいいのか」
「貸したあとに、大きな修繕が出ないか」
こうした不安の正体は、判断力の問題ではありません。
実家の状態が「見えていない」こと。 ただ、それだけです。
そして今、その「見える化」を、国の補助を使って進められる制度があります。
なぜ「状態を知らないまま動く」と損をするのか
実家の判断を、状態を確認しないまま進めると、後から想定外の費用が出ることがあります。
たとえば、親が施設に入るため、実家をそのまま貸そうと考えるケース。
古い住宅を十分に確認せず貸し出すと、入居後に雨漏りや設備不良が起き、貸主負担の修繕が必要になることがあります。
家賃収入を得るつもりが、思った以上に修繕費がかかり、結果的に赤字になることも珍しくありません。
売却の場合も同じです。
建物の状態が分からないまま「古家付き土地」として売るのか、状態を確認したうえで「まだ使える住宅」として売るのかで、販売の方針は変わります。
「売りたい」「貸したい」という気持ちの裏に、数字と現実が見えていないまま動くと、判断はぶれます。
だからこそ、まず実家の状態を確認する。
それが、後悔しない判断の出発点です。
国の制度で、調査と補修を支援
実家の状態を確認するときに知っておきたいのが、国土交通省の 既存住宅流通活性化緊急促進事業 です。
これは、売却または賃貸を予定している住宅について、専門の技術者による建物調査や、調査で判明した箇所の補修工事を支援する制度です。
補助の内容は、おおまかに次の通りです。
- 既存住宅状況調査:5万円/件(調査費が5万円以上の場合)
- 補修工事:費用の2分の1以内、かつ 上限15万円/件
- あわせて、住宅所有者へ 最大20万円 の支援
(このほか、リフォーム設計・提案を加えると、支援額が広がる場合もあります。)
この制度の一番のメリットは、補助金そのものではありません。
実家の状態を「見える化」できること です。
調査を行うことで、雨漏りの可能性、外壁・基礎・床下まわり、給排水設備などについて、専門技術者の視点から一定の範囲で状態を確認できます。
ただし、壁や床を壊して確認する調査ではないため、すべての隠れた不具合が分かるわけではありません。
それでも、確認できた範囲で「貸す前に直すべき箇所」と「当面は様子を見てもよい箇所」を整理できます。
売却するなら、買主に説明できる材料が増えます。
数字と現実が見えれば、家族の判断は変わります。
福岡では、対象地域が限られています
ただし、注意点があります。
この制度は、全国どこでも使えるわけではありません。
地価が一定の上昇を示している地域に限り、対象区域が定められています。
福岡県内では、福岡市をはじめ、複数の市区町村が対象に含まれています。
私が対応する福岡市中央区・南区、春日市、那珂川市も、いずれも対象区域です。
「自分たちの地域は対象なのか」と気になった方は、まずそこを確認してみてください。
申請は「所有者と不動産会社が一緒に」進めます
この制度には、知っておきたい仕組みがあります。
申請は、宅地建物取引業者と住宅所有者が「共同事業者」として、一緒に進める 形をとります。
Jグランツという国のシステムでの申請手続きそのものは、不動産会社が代表して行います。
ただし、所有者は申請の当事者であり、調査や補修の補助金は、所有者ご本人の口座に直接支払われます。
(住宅所有者は個人に限られます。)
つまり、「不動産会社にすべてお任せ」ではなく、「所有者と不動産会社が一緒に取り組む制度」と理解しておくと、話が進めやすくなります。
なお、私は宅地建物取引業を有する、株式会社ネクステップにエージェント在籍しているので、申請そのものは、信頼できる株式会社ネクステップとなります。
その際、売却を見据えるなら、瑕疵保険や耐震証明など更に専門家とお繋ぎし、買主の安心につながる手続きまで対応できるかと思います。
申請できるのは、いまだけかもしれません
もう一つ、重要な点があります。
この制度の交付申請の受付期間は、令和8年(2026年)11月30日まで と定められています。
(ただし、予算に達した場合は、期限前でも受付が終了します。)
少なくとも、この制度を使う前提で考えるなら、期限を過ぎた後は同じ補助を受けられない可能性があります。
「もう少し待ってから考えよう」
判断を先延ばしにしている間も、固定資産税、火災保険、管理の手間はかかり続けます。建物も少しずつ劣化していきます。
判断を先延ばしにすることは、費用をかけながら、選択肢を狭めている状態とも言えます。
注意点:この制度でできること、できないこと
誤解を避けるために、制度の範囲も整理しておきます。
- この制度は、売却または賃貸など、実際に流通させる意思があることが前提 です。媒介契約や、相続人どうしの合意、エンディングノートなど、流通に向けた取り組みを示す書類が必要になります。「まだ何も決めていない」段階では、対象になりにくい点に注意してください。
- 補修工事は何でも対象になるわけではなく、調査で判明した 構造耐力上主要な部分 や、それに関連する一定の水回り設備などが対象です。
- 壁紙の張り替えなど、見た目を良くするリフォーム全般が補助される制度ではありません。
- 消費税分は補助の対象外です。
つまりこの制度は、「リフォーム代を安くする制度」というより、売る前・貸す前に建物の状態を確認し、必要な補修を検討するための制度 と考えた方が正確です。
まずは「自分たちの実家が対象か」から
相続した実家をどうするかは、家族にとって大きな判断です。
売るのか、貸すのか、しばらく管理するのか。
その判断を感覚だけで決めるのではなく、建物の状態を確認し、費用やリスクを整理したうえで考える。
それが、家族が同じ景色を見て話し合うための第一歩です。
大切なのは、補助金を受けることそのものではありません。
実家を「売るのか」「貸すのか」「残すのか」を家族で判断するための材料をそろえることが目的です。
福岡市中央区・南区、春日市、那珂川市で相続した実家の売却や活用を検討している方は、まず次のことを確認してみてください。
- 自分たちの実家が、この制度の対象になるか
- 建物調査をするべき状態か
- 調査のあと、売る・貸す・残すのどれが向いているか
無理に売却を勧めることはありません。
現状を整理するだけでも構いません。
実家のこと、まずは気軽にご相談ください。
